久喜市の市街化調整区域に家を建てる

こんにちは!Omiです。

市街化調整区域は自治体の都市計画から外れた、言わばここには住んで欲しくない、出来れば出て行って欲しいエリアとして区割りされた区域ですが、この度私は久喜市内の市街化調整区域の土地を購入し、家を新築する事になりました。

なぜ市街化調整区域を選んだのか?

市街化調整区域は、原則としては家を建ててはいけないエリアなので一般的には敬遠されがちで、従って地価もべらぼうに安くなる傾向があります。

今回私が選んだ土地は、久喜市の市街化調整区域で180坪超の市街化区域ではとてもとても手が出せないほどの広大な敷地です。

久喜市には2003年に家を新築して以来20年ほど居住しています。(仕事の転勤で何年か空き家にしていた時期もありますが)

今まで住んでいた家は市街化区域の40坪ほどの敷地に建っていますが、家庭の事情であったり、私の仕事の事情も絡みつつ、今よりも少し駅が遠くなったとしても、もっと周りに家が少ないゆとりある広い敷地に住みたい、と言うのが家族の総意でありました。

そこで白羽の矢を立てたのが、市街化区域と比べると破格の地価の安さを誇る市街化調整区域であった訳です。

条件が揃わないと市街化調整区域には家が建てられません

そもそも市街化調整区域は、都市計画法を根拠として都市計画で人を住まわせたくないエリアとして区割りされていますので、誰でも家を新築出来る訳ではありません…と言うか基本的には新築はNGです。

だだし、この都市計画法34条には11号、12号の例外による以下のような救済措置があります。

■ 都市計画法34条11号
・市街化調整区域の中でも⼀定の集落を形成しており、主要な道路や排⽔施設が概ね整備された区域を指定することにより、住宅や⼩規模店舗(延床⾯積150㎡まで)などが⽴地可能となる区域。

・市街化調整区域では、建築物の建築等が厳しく制限されていますが、都市計画法第34条第11号(以下「11号」という。)区域の指定区域内では以下の条件を満たす場合に住宅等の建築が可能となります。

①親族要件がなく、誰でも建築が可能
②⾃⼰⽤住宅に加え、非⾃⼰⽤住宅(⻑屋や建売分譲)の建築が可能
③原則として、平成18年9月1日より前から登記地目が「宅地」であることが必要
④別途、技術基準(道路幅員や排⽔など)あり

11号指定地域の場合には、土地の方の条件が揃えば誰でも住宅の新築が可能である事、ある程度はインフラが整備されている事から、久喜市においては市街化区域と比べてそこまで極端な地価の差はないように思います。

■ 久喜市都市計画法34条11号

一方で11号に該当しない地域でも、こちらの12号に指定された地域であれば、以下条件を満たす事が出来れば住宅の新築が可能となります。

※12号の条件の解釈に関しては自治体の条例により定められています。

■ 久喜市都市計画法に基づく開発許可等の基準に関する条例
第5条

法第34条第12号の規定により、開発区域の周辺における市街化を促進するおそれがないと認められ、かつ、市街化区域内において行うことが困難又は著しく不適当と認められる開発行為として定めるものは、次に掲げるものとする。

ただし、令第8条第1項第2号ロからニまでに掲げる土地の区域又は用途地域が定められている土地の区域における第2号から第8号までに掲げる開発行為は、この限りでない。

(2) 自己の居住の用に供する建築物を建築する目的で行う開発行為で次のいずれかに該当するもの

イ 久喜市又は久喜市に隣接する市町の市街化調整区域に20年以上居住する親族を有する者が、既存の集落に自己又は自己の親族が所有する土地において行うもの

こちらは久喜市と久喜市に隣接する自治体に、自分から見て6親等以内の親族が20年以上居住していれば開発してもOKと言う事ですが、11号指定地域とは異なり誰でも家を建てられると言う訳ではなので11号地域よりも更に価格が下がる傾向が強くなっています。

11号・12号の条件を満たしていなくても、建築可能なケースが有る

今回私が契約した物件がまさにこの事例であったのですが、私は幼少の頃から埼玉県に住んではいるものの、父母とも埼玉には縁も所縁もない団塊世代の地方からの移住者ですので近くに6親等の親戚はいません。

そもそも18年前に久喜に家を建てたのは、職場のさいたま市からそれほど遠くなく、それほど地価が高くない、と言う条件で選んだからであって、もともと久喜市には縁も所縁もありません。

従って通常の場合であれば12号区域に家を新築する事は出来ない立場なのですが、さらなる例外措置として都市計画法施行令、第三章、第一節、第36条に「開発許可を受けた土地以外の土地における建築許可の基準」の定めがあります。

こちらの法令に対しての解釈や運用は自治体ごとに異なり、久喜市に関しては条例でこのように定められています。

■ 久喜市都市計画法に基づく開発許可等の基準に関する条例
第6条

令第36条第1項第3号ハの規定により、建築物又は第1種特定工作物の周辺における市街化を促進するおそれがないと認められ、かつ、市街化区域内において行うことが困難又は著しく不適当と認められる建築物の新築、改築若しくは用途の変更又は第1種特定工作物の新設として定めるものは、次に掲げるものとする。

ただし、令第8条第1項第2号ロからニまでに掲げる土地の区域又は用途地域が定められている土地の区域における第2号から第4号までに掲げる建築物の新築、改築若しくは用途の変更又は第1種特定工作物の新設は、この限りでない。

(4) 現に存する建築物が建築後20年を経過している場合又は建築後5年を経過し、破産手続開始の決定その他やむを得ない事由を有するものとして規則で定める場合に、当該建築物と同一の敷地において行う、次のいずれかに該当する建築物の新築、改築又は用途の変更

ア 現に存する建築物と用途が同一の建築物
イ 現に存する建築物と用途が類似するものとして規則で定める建築物

つまりは今建っている建物が住宅であり建築後に20年以上経過しているならば、誰でも住宅の立て替えがOKですよ、と言う事が書かれています。

このような物件の場合、実は結果的に住宅の新築が可能であるにも関わらず、12号区域と記載されているが為に売れにくい、そして価格が下がりがち、と言う傾向があるように思います。

今回私が契約した物件は、築40年を超えた中古住宅が建っている土地ですのでこの条例を満たしている訳です。

市街化調整区域を開発する前には「開発許可申請」が必要

ここまでで解説した法令・条例を根拠にして住宅の新築が可能であると判断が出来た場合でも、11号、12号の条件から外れている地域に家を建てる場合には「開発許可」が必要になります。

その為に自治体に「開発許可申請」を行うのですが、その際には給排水の位置や方法を確定させる必要がある為、申請を行う段階では家の間取りがある程度確定されてる状態でなければなりません。

「開発許可」が降りた段階でようやく希望の家が建てられるかどうかが確定しますが、先に土地を購入して「開発許可」が降りなかった場合には目も当てられないので、この辺りをどうするかは不動産屋さんに相談しましょう。

市街化調整区域のデメリット

市街化区域のメリットは地価が安い、周辺に家が少ないので開放感があるなど想像に難くないと思いますが、デメリットもかなり多いので事前に把握しておいた方が良いでしょう。

・土地契約や申請までの手間が多く、通常掛からない「開発許可申請」のコストが掛かる(数十万円)
・上水道の引き込み距離が長くなりがち(工事費が掛かる)
・排水関係で余分が工事が増える為、外構費用が高くなりがち
・地盤改良にコストが掛かり易いかも知れない
・インフラが整っていない事による不便さがあり、光熱費も上がり易い(浄化槽・プロパンガスなど)
・市街化区域に比べてネット通信環境も悪くなりがち
・市街化区域に比べて周辺道路が狭い為、車を運転するのに気を遣う事があるかも知れない
・駅やスーパー、コンビニ、学校、病院までの距離が遠くなりがち

子供が学校に通っているような年齢であったすると完全にNGになりそうなデメリットが多いですし、土地は安いものの水道の引き込みや地盤の改良、排水処理にコストが掛かる可能性もあり、浄化槽(保守や清掃に数万円/年)、プロパンガス(一般的に都市ガスの1.8倍の料金)など、光熱費も高くなります。

従って市街化区域は非常に住みにくい地域であるとも言えます。(出来れば出て行って欲しいエリアとして区割りされた区域なので当たり前ですが…)

光熱費は工夫次第でどうにかなるかも

市街化区域のメリットは土地が広く、建物も大きく建てられる点ですが、以前と比べると導入コストがかなり下がっているソーラーパネルの導入+オール電化の合わせ技で光熱費は下げる事が可能ですし、状況によっては発電で余った電気を仮想通貨のマイニングなどに回す事で家計の足しに出来る可能性もあります。

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